読書で寝落ち

日々の読書記録です。

ジュニアでも大人でも読んで佳し「死 内田百閒・林芙美子ほか (文豪ノ怪談ジュニア・セレクション 第二期) 」

文豪の怪談をジュニア向けに編纂したシリーズの一冊。編者は「平成怪奇小説傑作選」の東雅夫さんです。
これがシリーズ1冊目というわけではなくて気になった巻から読んでいます。

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 これは対象年齢どのくらいなんだろう?
10代前半には結構ハードなチョイスな気もするけど、こういう作品群を若いうちに読めるのはとても羨ましい。

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ちなみにすべてルビが振ってあり、かなり細かく注釈がついている。
この注釈の一部にめっちゃマニアックな情報が載ってるのも妙に気になる。

まあそれはそれとして。

本書の構成は有名な「トミノの地獄」から始まって観音様が迎えに来る「二十六夜」で終わる。
これがバッチリはまって美しすぎる。これぞアンソロジーの醍醐味。
また玉川麻衣さんの表紙挿絵もとても素敵。
想像の余地を残しているメージが付きすぎない絵なのに各話の雰囲気に合っていてとてもいい。

しみじみした余韻に浸ったと思ったら「幻妖チャレンジ!」と称して古事記の「黄泉の国」の下りの原文・書き下し文・現代語訳が始まるというストロングスタイル。

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わからないことがわかる!

書き下し文も話を知ってたからなんとか読めた感じ。
教養がほしい…


学校の古文でも万葉仮名では勉強しないから本当はこういうものだったんだって知るのは面白いよね。ジュニア向けの意義がある。
万葉仮名を解読した人すごいなー、それとも昔の人は普通に読めたのかな?とかいろいろ想像できると学校の知識が生きたものとして現れるのではないでしょうか。

収録作品はすべてキャラクターが立っているけれど、初めて読んだ作品の中では
原民喜「秋旻」、 日影丈吉「墓碣市民」、林芙美子上田秋成」、宮沢賢治「二十六夜が気に入った。

特に日影丈吉「墓碣市民」は平成怪奇小説傑作選1に収録されていた同作者の「角の家」にも通じる
飄々とした感じがあって楽しく読んだ。
存在とはなにかみたいな真面目なテーマ性がありつつおかしみのある読み口が重さを感じさせず好きです。

西條八十トミノの地獄」内田百閒「冥途」はもはや殿堂入りの貫禄。
それにしても「トミノの地獄」はどうしてあんなに音読したくなるのかな。かっこいいからかな。
「地獄くらやみ花も無き」ってフレーズめっちゃかっこいいよね。

ちなみに私はこの年になっても例の都市伝説にビビってるので一度も声に出して読んだことはないです。